2023年3月期における我が国経済につきましては、ウクライナ情勢等に起因する供給制約や円安の進行等から物価上昇が進んだほか、欧米の金融引締め等による海外経済の減速の影響もあり、景気の回復は緩やかな伸びに留まりました。3月には、米欧の銀行が経営破綻するなど、海外経済の更なる減速から、今後、我が国でも景気の下振れが懸念されます。
一方、当社グループの属する情報サービス産業におきましては、AI・IoT等の新技術の普及やクラウドシフトを背景に、DX(デジタルトランスフォーメーション)に向けた取り組みが増加するなど、IT投資への旺盛な需要を背景に、受注環境は良好に推移しました。
このような状況下、当社グループは、現中期経営計画において、その最終年度となる2026年3月期に売上高1,000 億円を超える企業グループを目指しています。
この目標の達成に向け、システム開発事業につきましては、新技術の活用やDXに対するニーズの高まりを踏まえ、新技術・DX関連の開発案件への取り組みを一層強化し、これらを成長のドライバーとして事業を拡大してまいります。また、ソリューション事業につきましては、既存製品の拡販や新たなソリューションの開発・販売に加え、M&Aを活用して品揃えの拡充と規模の拡大を図り、当社グループの第二の収益の柱へと育ててまいります。
当期の実績につきましては、IT投資への旺盛な需要を背景に、受注を着実に積み上げた結果、売上高及び営業利益は11期連続で増収・増益となりました。
売上高につきましては、システム開発事業及びソリューション事業とも順調に拡大し、前期比9.5%増収の77,982 百万円となりました。このうち注力分野である新コア事業につきましては、クラウドを利用した新技術・DX関連のシステム開発事業が大きく伸長した結果、前期比20.7%増収の28,411百万円となりました。
営業利益につきましては、ベースアップの影響のほか、M&Aに伴う費用やのれん償却費の発生もありましたが、前期比9.7%増益の12,524百万円となり、経常利益は前期比8.7%増益の12,662百万円となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、株式会社プロシップとの資本業務提携の解消に伴う同社株式の売却等により、株式売却益2,150百万円を特別利益に計上したこと等から、30.6%増益の10,219百万円となりました。
なお、中期経営計画では、計画2年目となる当期の業績目標として、売上高750億円、新コア事業売上高265億円、営業利益120億円を掲げておりましたが、いずれも目標を上回る実績となり、事業拡大は順調に進捗しています。また、収益性指標である営業利益率につきましては、目標16.0%に対して16.1%、ROEにつきましては、目標15.3%に対して19.3%となり、収益性の面においても計画どおり進捗しました。
以上の実績を勘案し、2023年3月期の1株当たりの配当金につきましては、取締役会決議により、期末配当金を57円とし、中間配当10円とあわせ、年間で前期実績より15円の増配となる67円とさせていただきました。この結果、配当性向は50.6%となり、自己株式取得額2,499 百万円とあわせて、総還元性向は74.9%となりました。
株主の皆様におかれましては、引き続き、当社へのご支援を賜りますようお願い申しあげます。
2023年5月