TCFD提言に基づく情報開示

TCFD提言に基づく気候変動関連の情報開示

NSDは、2023年10月、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同するとともに、気候変動が当社の事業にどのような影響を及ぼすかの情報を、TCFD提言のフレームワークに基づき、「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」および「指標と目標」の4つの要素に沿って開示いたしました。
当社では、これからも中長期的な視点に立って気候変動と向き合い、気候変動が当社の事業に及ぼす影響への理解を深め、気候変動に関するガバナンス、戦略、リスク管理、財務への影響などの事項を適時的確に開示することで経営の透明性を高めてまいります。

  • TCFDとは、気候関連財務情報開示タスクフォースの英名であるTask Force on Climate-related Financial Disclosuresの略称で、金融安定理事会(FSB)により、気候関連の情報開示および気候変動への金融機関の対応を検討するため、2015年12月に設置された組織です。世界各国の各業界に対して、気候変動に関連する「ガバナンス」、「戦略」、「リスク管理」および「指標と目標」の4つの要素に沿った情報の開示を提言しています。

ガバナンス

NSDでは、代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ推進委員会」を取締役会の下部組織として設置しています。同委員会は、気候変動への対応を含む当社のサステナビリティ活動を推進することを目的として、2022年7月に新設しました。
同委員会を構成する委員は、コーポレートガバナンス、資源・エネルギー管理、サプライチェーン、健康管理、対外開示などを担当する部署の責任者です。同委員会は、当社グループのサステナビリティに関する取り組み方針の審議、取り組み状況のモニタリング、情報収集や役員・社員への啓発を主な役割とし、原則として四半期に1回の頻度で開催されます。
同委員会にて審議された内容は当社の取締役会へ定期的に報告しており、重要な事項に関しては取締役会がこれを決定する体制となっています。

【図表1】当社における気候変動に関するガバナンス体制

戦略

NSDグループの事業に影響を及ぼすと予想される気候変動に関連する「リスク」と「機会」について、TCFD提言のフレームワークに基づいて、次の【図表2】に整理しました。

【図表2】気候変動に関連する「リスク」と「機会」および財務への影響
種類予想される財務への影響
移行リスク
  • 気候変動に起因する取引先の業界再編や衰退、これに伴う当社の取引先数の減少
  • 取引先からの気候変動への取り組みの要請に当社が対応できず、これに伴う当社の受注量の減少
  • 当社の気候変動対策に伴う必要な経費支出(例:カーボンオフセット費用)の増加
  • 取引先からの気候変動に関連する新たな技術・製品開発の要請、これに伴う当社の研究開発費や設備投資の増加
  • 気候変動対策を起因とする新たな環境税(例:炭素税)の導入、これに伴う当社の税負担の増加
  • 株主からの気候変動に関する情報開示の要請に当社が対応できず、これに伴う当社の株価の下落
物理リスク
  • 平均気温の上昇など異常気象の発生による当社の役員・社員の健康面への悪影響、これに伴う生産性の低下
  • 台風や洪水などの極端な気象事象の多発、これに伴う当社の事業運営の不安定化
機会
  • 異常気象の激甚化に備えた取引先のBCP関連のシステム化ニーズの高まり、これに伴う当社のビジネス拡大
  • 社会における健康への関心の高まり、これに伴う当社の医療・ヘルスケア領域のビジネス拡大
  • 当社が積極的に気候変動に関する情報の開示を行うことによる各ステークホルダー(例:取引先・株主など)からの評価向上、これに伴う当社の取引拡大や株価上昇

リスク管理

NSDでは、今回のTCFDに沿った情報の開示を行うにあたり、気候変動が当社の事業に及ぼすリスク管理を気候変動に関する知見者等で構成されるサステナビリティ推進委員会が中心となり、行うこととしました。
同委員会においては、将来的に想定される当社グループのリスクに関する情報の収集に努めていくとともに、当該リスクの内容に見合った適切なモニタリングの方法を議論していきます。

指標と目標

NSDグループでは、世界規模で深刻化する気候変動の問題に対処するため、気候変動・エネルギー管理を当社のマテリアリティ(重要課題)の一つとして位置付けており、温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)の排出量の削減に取り組んでいます。
現行の当社のCO2削減目標については次の【図表3】のとおりです。
なお、Scope1および2におけるCO2排出量をネットゼロとすることについて、現在、社内において検討を進めています。

【図表3】温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)排出量の削減目標
2020年度実績目標時期目標値
1,273 t-CO2(基準年)2030年度35%削減(2020年度比)
2050年度72%削減(2020年度比)
※当社の本社・支社・事業所および国内子会社を対象としています。